北の空から~アトピー湯治留学 豊富温泉へ移住

アトピーの息子と北海道の北の端の豊富温泉に湯治留学するまでの出来事とそこでの日々を綴ります。

工房レティエ~久世家の物語

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 豊富の山の奥に、レティエという小さなカフェがひっそりと立たずんでいます。

そこでは、文字通り無添加のアイスやチーズが食べられるのです。

 食の安全性に高い関心があり、

本州の乳牛の飼育方法に不信感を抱いた久世さんは、

「乳牛は草食動物。広い草地で放牧されて育つ牛の乳が、

もっとも自然で健康的。しかし当時の本州では、狭い牛舎の中で

輸入飼料を大量に与えながら牛を育てているケースがほとんどでした。」

と、家族に安全な牛乳を飲ませたいという思いを抱き、

酪農の町、豊富に移住したということです。

 自前の農場で、与える飼料にまで拘って、のびのびと育てた牛から摂った

濃厚な牛乳で作ったジェラートやチーズ。

これ以上ない贅沢だと思いませんか?

 このあたりでは有名なお店ですが、現在は開店しているのは金土曜日のみ。

お店が開いている日は、結構な賑わいのようです。

 

 私が初めてここへ連れて行って貰った時に、

たまたま創業者の久世薫嗣さんがいらしていて、

(現在は娘さんがお店を継いでいます。)

一冊の冊子を手渡されました。

「緑むせる創造」

 

何気なく目を通して

そこに書かれている久世家の物語に

惹き込まれてしまいました。

兵庫県から豊富に移住し、

3人の子供たちと共に

電気も水道も引かれていない山の中に、

古い家を解体した廃材や釘だけを利用し、

自分たち家族で家を建て、

牛を飼い、自給自足の生活を始めたのが

レティエの始まり・・・。

平成元年のこと。

まるで、平成の「北の国から」のよう・・・。

息子さんの喘息を治したいという動機もあったようで、

農薬、化学肥料は使いたくないし、

輸入飼料も使いたくない、

自分で創れるものは出来るだけ自分で創って行きたい・・・

と、少しづつ、その範囲を広げていったというのです。

 

 今でこそ、色々な雑誌にも取り上げられ、

新聞でも紹介され、全国から旅行客が立ち寄る、

知る人ぞ知る工房となりましたが、

日本最北の地、豊富で

自然と共生して生きることを貫くために

どれほどの困難があったかと、

久世家の物語は

北海道開拓の歴史とも重なり、

私の心を釘付けにしたのでした。

 

 更に凄いのは、

チェルノブイリ原発事故で被災した子供たちを預かって、

自然の中で過ごさせるという活動をされたり、

同じように

福島の子供たちを受け入れたり、

社会貢献への取り組みも積極的にされている。

 

 凄い方達だなあ・・・と

思いませんか?

 

「握りこぶしひとつで、豊富に入植した家族。」

かっこいいと思いませんか?

 

 レティエのジェラートは、お店の開いている季節も、曜日も

限定的だし、店舗があるのは山の中だし、豊富でも

なかなか食べる機会は限られてしまうのだけれど、

豊富から遠く離れたところに住む人でも

簡単に食べられる方法があるのです。

 

 「ふるさと納税」という制度。

豊富町では、「ふるさとチョイス」か「楽天」で申し込めます。

飼料にまで拘って育てた牛から摂れた牛乳で創った

ジェラートやチーズ

是非召し上がってみて欲しい・・・。

 

 だけど何より、機会があったら・・・

もっと沢山の方たちに、

ここ豊富を訪ねてみて欲しいと思っています。