北の空から~アトピー湯治留学 豊富温泉へ移住

アトピーの息子と北海道の北の端の豊富温泉に湯治留学するまでの出来事とそこでの日々を綴ります。

サロベツ納涼花火大会

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8月15日の夜8時から、

豊富町の自然公園で、花火大会がありました。

花火大会のことは、以前から色々な方から聴いていて

とても混み合うと・・・。

 

これと言った娯楽のないこの町の暮らしですから、

息子と共に楽しみにしていました。

とは言いつつも、

こんな小さな町だし・・・、

予算も限られているだろうし・・・

混み合うと言っても・・・

なんて考えていたのですが。

 

この日は昼からも色々な行事があり、

出店が沢山出て、

太鼓やダンスのパフォーマンスが披露され、

お楽しみくじが販売になっったり、

小学生以下対象のビンゴ大会があったり、

餅まきがあったり・・・。

 

「餅まきがあるんだよ。」

という話を聴いて、息子と行ってみたのですが、

凄い熱気というか、殺気というか・・・。

それぞれに持参した袋を手に、

撒かれた餅に殺到。

「全然取れなかった・・・!」と口々に言う人たちの手には

しっかりと、いくつもの餅の袋が。

だけど、だけど・・・。

1個も取れなかったのは、私だけ?

「それはトロすぎでしょ・・・。」

と呆れる息子。けれど、

「拾った餅を袋ごと誰かに取られた・・・。だって、すごい勢いで

ひったくるんだよ?」

と、袋ごと取られた息子だって人のこと言える?

 

来年はせめて一つくらいはゲットしてみたいな・・・

けど、こうゆうの、ホント、取れたこと無い、トホホ。

 

一旦家に戻って夕方暗くなってから

会場に向かいました。

次男は友達と一緒に見る約束をしていて現地で合流。

 

花火大会の会場は文字通り墨を落としたように真っ暗で

足元も見えない。人の姿も見分けがつかない。

座って花火を見る場所を探すのも一苦労。

たった一つの街灯もない自然公園の闇の中で

人の気配だけが賑やかにざわめいている。

いよいよだ・・・

沢山のわくわくの中で、始まりの合図の花火が上がる。

 

すると・・・

目の前に鮮やかに広がり飛び散る、様々ないろの火花達。

赤、青、オレンジ、緑、ピンク・・・。

大きく高く打ち上げられた花火のすぐ後には、

低い位置に次々にテンポよく弾けるオレンジの光。

お腹に響くドーンという振動と、バチバチという粉かな音色。

 

高く上がった花火は、ほぼ頭上近くまで登って

一瞬のあいだ姿を消したかと思うと、

渾身の力を込めて弾けて、広がり・・・消えていく・・・。

 

とにかく、大きい!

目の前に何も遮るものがなく、

一点の光もない暗闇に、

大きな、大きな光の花が咲いては飛び散って行く。

息つくまもなく弾ける花火。

 

こんなに間近で、こんなにも見事な花火が

次々に夜空に広がるのを、

今まで見たことはなかった。

 

小さな町の花火大会だから・・・

なんて、とんでもない!

 

小さな町だからこそ、

この暗闇だからこそ、

迫力が増していることはあっても、

花火の見事さは

どんな花火大会にも劣らないと思う。

 

少し離れた場所から一発上がり、

2発目はもっと近くの場所に上がり、

3発目はまるで私達が花火の中にいるかのように

どんどん花火が近づいてくる演出も、

なんて趣向を凝らしているのだろうと感激した。

 

花火大会というのは、

ただ花火を打ち上げるだけではなく、

どんな花火を、どのタイミングで、どの位置から、

どういう組み合わせで打ち上げるかによって、

伝えたい想いを伝えることが出来る

一つの作品なのだと思った。

 

ただその作品は、写真や映像に撮っても

その一瞬一瞬の感激は残せない。

テレビをとおして見る花火大会は、

どんな優れた映像でも、なぜか精彩を欠いてしまう。

 

間近で見て、一瞬で消えてしまう芸術。

それは、そこに居合わせた一人ひとりの胸の中にしか

残せない

儚いからこそ美しいもの。

胸の中の「思い出」という場所に、今、保存。