北の空から~アトピー湯治留学 豊富温泉へ移住

アトピーの息子と北海道の北の端の豊富温泉に湯治留学するまでの出来事とそこでの日々を綴ります。

初めての体験~鱒をさばく!

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夏休みのある日、私達親子がちょっぴり寝坊していると・・・

ピンポ~ン・・・!

と呼び鈴の音。

近所に住むḠ君は、毎日のように息子を誘いに来てくれるが、

今日は随分早いなあ・・・と、寝ぼけ眼の息子を起こして

Ḡ君が来ていることを伝えた。

玄関から戻った息子が、まだ半分寝ぼけたまま何やらつぶやいている。

「マス・・・。」

???

「マス?」

「うん、マス。」

「マスって枡?」

「違うよ!マスだよ。マス!」

意味が分からずマスって?と繰り返す私に、

息子が大きなビニール袋を差し出した。

中には大きな魚がずっしりと重そうに・・・。

「鱒!えー、こんなに大きな鱒!?」

 

Ḡ君は、お父さんと一緒に、早朝から釣りに行くことが度々あって、

この日沢山釣れた鱒を、息子に届けて来れたのだった。

以前から、「釣れたらヤル!」

と約束してくれていたらしい。

 

朝まだ暗いうちから早起きして、

一生懸命釣った魚を、朝早速届けてくれるなんて、

これ以上ないプレゼントに感激で

じ~んとしたものの・・・

 

この魚をさばくのは、もしかして私?

 

「さばいて、塩を降って焼いて食べると美味しいよ。」

寄生虫がいるかも知れないから、一度冷凍してから食べた方が良いよ。」

Ḡ君が教えてくれる。

 

「だけど、おばちゃん、魚さばいたことって無いんだよね・・・。」

途方に暮れながら、思わず口にすると、

「マジ・・・?」

と返ってきた。

「マジ・・・。」

東京で、魚を捌いたことのある女の人探すほうが

難しいと思うけど・・・。

スーパーに並ぶ切り身の魚しかみたことない子供も多いハズ。

以前インターネットで切り身の鮭が泳ぐという

ドッキリの映像があった程。

 

それでもḠ君の好意を無にする訳にはいかない!

魚が大好きな息子に、新鮮な、友情たっぷりの鱒を食べさせたい!

 

我が家の小さなまな板からは、ゆうにはみ出る鱒に

挑む。

正直言って、ヌルヌルが気持ち悪い・・・。

目が怖い・・・。

包丁の切れ味が悪い。

 

スマホで検索したさばき方の動画を見ながら、

必死で格闘した。

せっかくの想いを無駄にしたくないから、

出来るだけ捨てるところの無いように・・・。

 

血だらけの台所。

だけど、何かを成し遂げた達成感・・・。

 

私にも鱒がさばけた!

やったあ・・・!

初めての体験がまた一つ。

 

そして翌日、冷凍した鯖を解凍して

教わったとおり塩をふって焼いた。

 

美味しい・・・!

 

脂が乗っていて、本当に美味しい!

こんなに美味しい鱒をいつでも釣って来られるなんて

なんて羨ましいんだろう・・・。

 

Ḡ君、君が頬を赤くして、鱒と格闘する様子が

目に浮かぶようだよ。

 

心もお腹もいっぱいになる贈り物を、

本当にありがとう!

そして、ご馳走様・・・。