北の空から~アトピー湯治留学 豊富温泉へ移住

アトピーの息子と北海道の北の端の豊富温泉に湯治留学するまでの出来事とそこでの日々を綴ります。

サロベツ100マイル

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先週の土曜日、息子は予てから練習していた目標である

サロベツ100マイルという、自転車レースの本番で

タイムトライアルに出場しました。

場所は大規模草地(おおきぼそうち)。

ここはNHKの大河ドラマ坂の上の雲のロケ地にも

なった所で、

日本で一番大きな牧場だということです。

 

見渡す限りの丘陵が文字通り

果てしなく続いています。

毎週末、kさんと一緒にここで坂を登り下りする練習を

させられていた息子は、

本当のところは、キツイんだよな・・・

と、時折こぼしていたのですが・・・。

 

当日、1時半開会式。

2時からタイムトライアル開始。

年齢やレベルによって、いくつかのクラスに別れて

2.13キロのタイムを競います。

しかし、大規模草地内は高低差が大きく、

上り坂と下り坂を繰り返し、

レースのゴールは長い上り坂を登りきったところです。

 

勝敗はともかく、

頑張っていた息子を応援したいという気持ちはありつつも、

大規模草地内のゴールの場所まで、

私も自転車で行かねばならず、

ギアも付いてないママチャリで

片道1時間半以上かけ、ひたすら続く坂道のアップダウン・・・。

ちょっと自身がなくて、

「ママ、応援に行かなくちゃ駄目かな?」

と、弱音を吐くと、

「来なくてもいいけど、

来てくれたら、嬉しい・・・!」

そう言われたら、やっぱり行くしかない。

 

訳あって、長男もこちらにいるので

二人で自転車で大規模そうちへ。

サイクリングロードを通って、

大規模そうち入り口まで家から40分程。

そこから大会本部のある場所まで

私の体力だと1時間近く。

うぐいすのさえずりを聞きながら、

ひたすらペダルを踏む。

坂道がキツイ・・・。

平地なら、なんてことないのに・・・。

俯いて自転車を押しながら1歩づつ登る。

アスファルトの隙間から、

草が伸びているのが目に入った。

いつも不思議に思うのだけれど、

こんなに硬いアスファルトを押しのけて

芽を出す草の生命力。

顔をあげると、土砂が崩れた跡の斜面に

必死でしがみつくように生えている木々の姿が・・・。

自然の生命力というものを

ここで暮らすようになって、

いつも身近に感じられるようになった。

木。草。

そんな大雑把な関心しか持っていなかった私だけれど、

ひとつひとつに特徴があって、

もしかしたら彼らにも、意思というものがあるのではないか?

とさえ感じることがある。

人が生まれるはるか昔から生き続けていた命だもの。

とても敵わないなあ・・・と思う。

 

そんなことを考えながら、

トボトボと自転車を押す私の横を、

大会出場者の自転車達が

颯爽と追い越していく。

 

次男は一足先に、kさんの息子さんが現地に付き添ってくれている。

 

長男は、教育委員会から借りている自転車に乗っていたが、

車輪の小さい折りたたみ式くらいのサイズの自転車で、

追い越していく大会出場者の人たちが

「え?まさかこれで出場するの?」

と言うように、皆怪訝な顔で振り向くので、

さすがに恥ずかしいとこぼす。

何だかおかしくて、二人で吹き出してしまったけれど。

 

会場に着くと、駐車場には沢山の車。

私達以外の応援の人達は皆車で来ている。

まあ、そうだよね、普通・・・・。

 

次男が出たのは、小学生高学年のクラス。

しかし・・・。

練習の様子を見るだけでも、

うちの息子以外は皆、とっても本格的に練習を積んできた子たち。

走りが全然違う。

親の意気込みも、指導も本格的。

何だか場違い?

服装も皆完璧で、肌にピッタリと張り付いている、自転車競技用の物。

次男がゴールしたときには、後ろの方から、

「え?ジャージ・・・」

という声がした。

「ジャージですが何か?」

 

そんな中、彼なりに全力で走った。

タイムトライアル。

勿論タイムは最下位。

だって始めてまだ2ヶ月ちょっと。

緊張した!と言うけれど、

初めての自転車レース。

一生懸命頑張っただけで、私には宝物。

もしここへ湯治に来なければ、

こんな大きな自転車レースの大会に出場するなんて

一生縁がなかったはず。

素敵な経験がまた一つ出来た。

 

そして何と運の良い彼は、

エントリーしていた小学高学年のクラスの出場者が

3名だったため、

3位入賞、ということで、賞状と記念品をいただいたのです。

ラインで賞状の写真を送りまくってたけど、

ちょっと狡くない?(笑い)

 

これからどうするのかしら?

と思っていたら、

「今度の土曜日も大規模そうちで練習だって!」

と張り切っている。

大会に応援に来てくれた同級生が一緒に加わることになって、

賑やかになりそうだ。

私は来年も、あの坂道を自転車で登ることになりそうだ・・・。